2023年 農林水産物・食品の輸出実績が1兆4,541億円と過去最高を記録
農林水産省の報道発表資料で『2023年の農林水産物・食品の輸出実績』が掲載され、2023年1-12月の輸出実績は1兆4,541億円と過去最高を記録。昨年2022年の実績は1兆4,140億円であるため前年比+402億円とここ数年間の急速な伸びを思うとやや見劣りはしますが、昨年下半期以降の処理水の放出に伴う中国等向けの輸入規制のため水産品の輸出が大幅に減少したことを考慮すると、引き続き農水産品輸出の勢いは強い。10年前の2013年の実績5,505億円と比べて2023年には約3倍に達しているため、日本の農林水産物・食品の海外輸出の可能性を強く感じる。
詳細については農林水産省のHP内に資料が掲載されていますのでそちらを参照。
※農林水産省の報道発表資料『2023年の農林水産物・食品の輸出実績』
農林水産物・食品 国別輸出額順位
2023年農林水産物・食品の輸出実績について、国別の輸出額を1-10位の順で並べた表に諸情報を追加したものが下記の通り。
参照:2023年 JETRO農林水産物・食品 国別マーケティング基礎情報(輸出額については2023年通年の実績)
商品によって単価も異なるため一概に輸出額だけに着目するのはあまり意味もないのですが参考までに内訳を見ると・・・加工食品としてはアルコール飲料が1,340億円とトップ。内訳としては日本酒(410億円)が最大と思いきやウイスキー(500億円)の輸出額が最も大きい。最近では日本国内でも入手が難しく、とんでもない金額でやりとりされている事例を見るとジャパニーズ・ウイスキーの人気ぶりは肌で感じられる。一方で日本酒・ウイスキーの両製品は前年比 日本酒▲64億円(▲13.5%)ウイスキー▲60億円(▲10.6%)と輸出額の減少幅が大きく、どちらも中国の景気後退の影響と言及される。例年日本の水産品輸出額トップであるホタテは上述の中国における輸入規制のため前年比▲222億円(▲24.4%)。それでも日本からの水産品全体の輸出額3,901億円の内899億円を占めトップ。身近な品目として、さばの輸出額は122億円と前年比▲66億円(▲35.2%)と大幅な減少。原因としては漁獲量の減少により輸出向けの物量も減少していることが影響しており、ここ10年で最も輸出金額の多かった2018年の輸出実績267億円と比べても半分以下の数字に。
農水産品の輸出総額に示されている通り、日本産品の輸出の伸びは変わらず堅調な様子。本記事執筆時点(24年5月)でも米ドル/円の為替レートは155円程度と輸入製品では目を背けたくなるような円安基調。自ずと食品業界では輸入品が多いため円安傾向により海外原料が高騰するなど逆風ですが、輸出の可能性も模索することである意味原料高騰をヘッジする役割を果たせるかもしれません。
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